空き家補助金の徹底解説:全国・自治体の支援制度をまとめて理解しよう

空き家 補助金 費用

空き家を放置していると老朽化によって倒壊する危険があり、火災が発生することもあります。
また、空き家の所有者としても空家等対策の推進に関する特別措置法によって定められている特定空家に認定されてしまうリスクを抱えることになり、解体工事の命令や固定資産税の優遇措置が撤廃されることもあります。
こうした問題を解決するために自治体からは空き家の除却や利活用に対して支援制度が公開されており、除却費や改修工事の補助、空き家活用のアドバイスを受けることができます。
ただし空き家対策に基づく補助制度にはそれぞれ補助対象や補助率、要件が異なり、支援事業によっては予算達成を理由に打ち切られることも少なくありません。
そのため補助金や助成金の金額だけでなく、申請方法や対象となる解体費用、改修費についても正しく理解しておくことが大切です。
この記事では全国の自治体が公開している補助金制度について、概要と具体的な補助金額、利用するための要件について解説します。
空き家を所有していて処分するか悩んでいる人は、参考にしてください。
参考:国土交通省|住宅:空き家対策 特設サイト

空き家に活用できる補助金とは?まずは概要をチェック

住宅は人が住み定期的にメンテナンスすることで快適な住環境を維持することができるため、空き家のまま放置していると居住できない環境になってしまいます。
庭に草が生い茂り雨漏りやシロアリ被害が発生した家屋はリフォームや耐震改修工事が必要になり、工事の費用が高額になってしまいます。
そのため老朽化が進んだ建物はそのまま放置されることも多く、地方ではこうした空き家が点在しているのが実態です。
自治体としても景観や治安、安全面からこうした空き家が増えることを問題視しており、改修工事費や建物解体費用を助成する制度を公開しています。
空き家の有効活用を促進することで不良住宅が減少し、結果的に定住促進によって地域活性化に繋がることになりますので、国や自治体は積極的に空き家の補助金活用を所有者に促しています。

国が実施する代表的な空き家補助金・助成制度

国が実施する代表的な補助金・助成制度として「住宅セーフティネット法による支援推進事業」があり、低額所得者、障害者などの住宅確保要配慮者に対して空き家を活用するのが目的です。
また耐震改修やリフォームをすることで空き家の資産価値を高め、居住可能な状態にするための費用についても補助交付を受けることができますが、取得するためにはいくつか注意点があります。
この章ではこうした国が公開する推進事業について詳しく解説しますので、制度を利用して空き家活用を検討している人はチェックしてください。

住宅セーフティネット法による支援内容

住宅セーフティネット法は法改正が行われ、令和7年10月から施行されます。
この法律は「大家が賃貸住宅を提供しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備」「入居支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進」「住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化」という3つの特徴があり、セーフティネット住宅に登録することで空き家の所有者も様々な支援を受けることができます。
たとえば賃貸に出した場合は家賃を安くする代わりに減収分の補填を受けたり、集合住宅への間取り変更工事に対する助成金交付、残置物処理の斡旋などが挙げられます。
空き家を賃貸住宅として活用したいが費用がかかる、といった所有者の悩みに応えられる制度となっていることから、空き家活用を検討している人におすすめです。
ただしこの制度を利用するためには空き家の床面積が25㎡以上で新耐震基準に適合しており、水回り設備が完備されているという条件があります。
そのため建物の状態をあらかじめチェックし、要件を満たしているか確認する必要があるといえます。
参考:住宅セーフティネット法

耐震改修やリフォームへの国の補助と注意点

耐震改修やリフォームによって空き家の資産価値は向上し、安全な住まいとして活用できますが、全ての工事が該当するわけではないため注意が必要です。
また工事内容によって補助金額なども異なりますので、次の要件をあらかじめチェックしておくことをおすすめします。

項目 内容
適用要件 専業主体、大家等
補助対象工事 ①シェアハウスに用途変更するための改修や間取り変更
②バリアフリー改修
③防火・消火対策工事
④子育て世帯対応改修
⑤耐震改修
⑥交流スペースを設置する工事
⑦省エネ改修 等
補助率及び補助金の上限 1/3(2/3)
上記①~⑥の場合:100万円/戸(200万円/戸)
その他の場合:50万円/戸(100万円/戸)
入居対象者 住宅確保要配慮者(住宅確保要配慮者+月収38.7万円以下)
家賃 公営住宅に準じた家賃の額以下(近傍同種家賃と均衡を失しない額)
その他主な要件 専用住宅として10年以上管理(一定の要件を満たす場合は住宅確保要配慮者以外も入居可能)

※()内は地域公共団体を通じた場合

自治体が実施する空き家補助金:地域別の支援例

空き家対策関連の補助金制度は国だけでなく、地方自治体からも公表されています。
そのため補助金や助成金の申請をする際には両方の制度をチェックし、より効果の高い制度を利用することがポイントといえます。
この章では、全国の自治体から東京都と京都市の補助金制度を紹介します。

東京都の空き家家財整理・解体促進事業と特徴

東京都では空き家状態の早期解決及び空き家の利活用等を推進するため、空き家の家財整理又は解体に係る費用の一部を補助しています。
補助金交付要綱を満たすことで補助を受けることができ、概要は次の通りです。

項目 内容
補助事業 都内に所在する空き家の家財整理もしくは空き家の解体
補助対象者 東京都空き家ワンストップ相談窓口に相談し、都内の空き家の家財整理又は解体を実施する空き家所有者
補助金の交付額上限 家財整理:5万円かつ費用の1/2。
解体:10万円かつ費用の1/2。

参考:東京都空き家家財整理・解体促進事業|補助金一覧

京都市空き家等の活用・流通補助金のポイント

京都市は令和7年度までの期間限定で空き家の所有者を対象とした「京都市空き家等の活用・流通補助金」という制度を設けており、空き家を売却する際の仲介手数料と空き家の解体工事費を対象に補助金を交付しています。
それぞれ次のような要件を満たすことで補助金を受けることができます。

項目 内容
補助制度 空き家を売却する際の仲介手数料補助
要件 ・昭和64年1月7日以前に建築
・延べ床面積が200㎡以下
・個人が所有
・共同住宅は不可(戸建てが対象)
・売却時に居住・使用していない(ただし、直前まで居住・使用していたものは対象)
補助制度 空き家の解体工事費補助
要件 ・重層長屋を除く一戸建て又は長屋建て
・京町屋を除く昭和64年1月7日以前に建築
・床面積50㎡以下(※)
・個人が所有
・売却時に居住・使用していない(ただし、直前まで居住・使用していたものは対象)

(※)京都市が公開している、建ぺい率に応じて定める面積以下に該当する場合でも対象となる。
仲介手数料の補助金額上限は25万円かつ仲介手数料の1/2までとなっており、解体工事費の上限は60万円かつ工事費の1/3までとなっています。
それぞれ申請から2週間から2ヶ月近くかかりますので、早めに申請書を提出することをおすすめします。
参考:令和7年度】京都市空き家等の活用・流通補助金について

その他地方自治体の支援制度一覧

東京都と京都市以外の代表的な支援制度は次の通りです。

自治体 主な支援事業補助金上限額 補助金上限額
神奈川県 座間市「空き店舗活用事業」 50万円
神奈川県 小田原市「空き店舗等利活用促進事業補助事業」 100万円
愛知県 常滑市「危険空家住宅除却費補助金」 30万円
愛知県 大府市「大府市空家改修費補助」 30万円
大阪府 泉南市「泉南市空き店舗等対策事業補助金」 100万円
大阪府 枚方市「枚方市若者世代空き家活用補助制度」 185万円
広島県 三豊市「三豊市移住促進・空き家活用型事業所整備補助金」 250万円
福岡県 北九州市「空き家リノベーション促進事業」 40万円
福岡県 筑紫野市「筑紫野市空き店舗利用促進事業補助金」 90万円

なお、地方自治体の支援制度については「補助金ポータル」で調べることができますので、参考にしてください。
参考:補助金・助成金・支援金をさがす

空き家補助金の対象となる改修・解体・撤去の具体例

たとえば長期間使用していない空き家を解体する場合や、改修工事して賃貸に出し、移住者促進に協力する場合は空き家補助金の対象になりやすく、積極的に申請すべきといえます。
一方売却を目的とする場合は補助金を受けることができず、空き家バンクなどのサービスを利用することになります。
ただし、京都市のように売却する際の仲介手数料に対して補助金を交付する自治体もありますので、具体的に補助金制度が適用になる条件については各自治体へ直接問い合わせすることをおすすめします。

空き家補助金を申請するために必要な書類と手続きの流れ

空き家補助金を申請するためには各自治体が公表している書類を準備し、所定の手続きに沿って審査を受けることになります。
書類に不備があったり手続きを間違えると補助金を受けることはできないため、準備物や流れを正しく把握しておくことが重要です。
この章では申請前に知っておきたいポイントと審査などのステップについて、解説します。

申請前に知っておきたい事前確認のポイント

たとえば京都市の補助金制度を受ける場合、仲介手数料の補助は売買契約書と仲介手数料を支払った領収書が必要書類となりますが、解体工事の場合は所定の交付申請書類を提出して審査を受け、交付決定した後に着工となります。
必ず交付決定後に着工しなければならないというルールがありますので、注意が必要です。
これ以外にも補助金制度は予算達成を同時に公募終了となる特徴があり、要件を満たしていても必ず受けられるわけではないこともポイントです。

審査・実績報告・交付決定までのステップ

空き家の解体や改修工事については工事内容について審査を受け、工事決定したあとに着工して工事完了後に実績報告し、再度審査を受けることになります。
その後審査結果に応じて交付金額が決定され、補助金の受領という流れになります。
申請→審査→着工→実績報告→審査→交付金額決定→補助金受領という流れはどの補助金制度にも共通しますので、知っておくべきポイントといえます。

まとめ

空き家を活用したいと考えているものの費用がかかることを理由に諦めている所有者も多く、危険な状態で放置されている空き家が問題になっている自治体も少なくありません。
そこで国や自治体からは空き家の改修工事や解体、売却に対して補助金制度が公開されており、活用することで費用を抑えたうえで空き家活用や処分をすることができます。
補助金制度によって適用条件や補助金上限額が異なりますので、まずは空き家があるエリアの自治体に問い合わせし、利用できる制度の概要を正しく理解しておくことが重要です。

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