親の死後に実家を処分する費用はどのくらいか?解体費用や税金について

空き家の解体費用 費用

親が亡くなり実家を相続した場合、実家を有効活用する方法で悩む人も多いです。
そのため有効活用せずそのまま処分してしまうケースもよくありますが、その際に家屋を解体するかどうかはよく検討すべきポイントといえます。
また、解体してしまうと税金が大きく変わる可能性もあり、注意が必要です。
この記事では相続した実家を安心して処分する方法について解説します。

この記事で分かること

  • 実家を処分する場合の注意点
  • 実家をそのまま売却する場合のポイント
  • 実家を相続した場合の費用

親の死後に実家を処分する方法はいくつかある

親が所有していた実家を相続した場合、次のようなケースと特徴を知っておく必要があります。


実家の活用方法 特徴
自ら住む 家賃がかからず住みながらメンテナンスできるため、費用対効果が高い。また、将来賃貸や売却するという選択肢も可能。
ただし、生活拠点が変わる可能性がある上に固定資産税がかかる。
賃貸に出す ランニングコストを賃料で賄うことができ、所有権を放棄することなく実家を保有し続けることができる。
ただし、自ら住みたい場合や売却したくなってもすぐに行動できないデメリットがあり、将来売却する場合に控除が使えなくなる。
売却する 所有権がなくなってしまうものの、ランニングコストは生涯かからず一括で資金を手にすることができる。

上記のように、どの方法にもメリットとデメリットがあるため吟味する必要がありますが、空き家のまま放置するのは資産価値が下がる上に維持費もかかることから、おすすめできません。
このことからも、活用するか処分するのかについては早めに決断すべきといえます。

実家を解体する場合の費用

実家を売却すると決めた場合や倒壊リスクをなくすために建物を解体するケースがありますが、解体工事にどのくらいの費用がかかるのか目安を知っておく必要があります。
この章では解体費用の目安と安く抑える方法を紹介します。

50坪の実家の解体費用

50坪で構造が木造の一軒家を解体する場合、一般的な100㎡前後の家であれば150〜180万円が解体費用の相場とされています。
また、自治体によっては解体の補助金が利用できる場合もあり、費用の負担を軽減できることから先に解体して不動産を売却するオーナーもいます。
ただし、築年数が古く老朽化している場合はアスベストが使われている可能性があり、万が一アスベストが含有していると解体費は高くなってしまうというトラブルもあります。
これ以外にも残置物が多かったり前面道路や間口が狭く重機が入れないケースでも解体費は高くなってしまい、建物がなくなったことを証明する滅失登記の費用もかかります。
このことからも、実家を取り壊しする場合は工事の費用相場を知りつつも複数の解体業者に見積もりを依頼し解体工事費用を確認することをおすすめします。

実家の解体費用を安くする方法

実家の解体費用を抑える方法として、なるべく残置物を減らすことをおすすめします。
特に布団や衣類が多いとトラックで一度に運べる量が減ってしまい、その結果解体費が高くなってしまいます。
また、家電や家具といった不用品はリサイクルショップが買い取りしてくれることもあるため、積極的に査定を依頼することも重要です。
このように、まずは家屋内の整理整頓と処分をすることで解体費の負担を抑えることができます。

実家を解体した場合のリスク

実家を解体することで土地だけが残り、掃除や換気をする手間がなくなるためメリットしかないように思えますが、実際には固定資産税が増額されるというデメリットがあります。
固定資産税は1月1日時点で不動産を所有している人に対し課税される地方税ですが、居住用の家屋が土地上にある場合は土地の固定資産税が200㎡まで1/6になるという制度があります。
つまり、実家を解体してしまうと更地になってしまうため特例を受けることができず、翌年度から軽減税率が適用されず固定資産税が6倍になってしまうことになります。
そのため、実家を解体する場合はなくなってしまう家屋の固定資産税と土地の固定資産税上昇分をあらかじめ計算し、損をしないか把握しておく必要があります。

実家をそのまま売却する場合の費用

実家を解体せずにそのまま売却する場合は解体費がかからない一方、売却するまでの維持管理費用や遺産整理費用、ハウスクリーニング費用がかかります。
この章で詳しく解説しますので、参考にしてください。

維持管理費用

実家を売却するために販売開始し、すぐに買い手が見つかれば問題ありませんが販売期間が長期化してしまうとその間の維持管理費が高くなってしまいます。
維持管理費には固定資産税や都市計画税だけでなく、家の破損個所を修繕する費用も含まれます。
さらに、家の掃除や換気をする手間も売却が完了するまで発生することになります。
このように、実家をそのまま売却するのであれば物件の売却方法が非常に重要といえます。

遺品整理/ごみ処分費用

親が生前に整理していない場合、実家に多くの遺品が残っている可能性があるため片付けをしなければなりません。 。
こうした遺品は遺族にとって不要であることも多く、量が多ければ遺産回収業者に撤去や処分を依頼することになりますが、遺産整理にかかる費用は20〜100万円と相場にばらつきがあります。
さらに、すぐに回収できない業者もいることから必ず複数社に見積もり依頼し、その上で手残り額を考慮した販売価格を決定することがポイントとなります。

ハウスクリーニング費用

ハウスクリーニングをして実家をキレイな状態にしておくことで、早期売却と高値売却を同時に実現できる可能性を高くできます。
特に水回りの汚れが酷い場合は自分で掃除するのではなく、ハウスクリーニング業者に依頼すべきです。
なぜなら、水垢やカビは一般的な掃除では完全に落とすことは難しく、さらに水回りがキレイな中古戸建はリフォームする費用がかからない可能性があるため高値で売却できるからです。
また、ハウスクリーニング費用の相場は4LDKで10万円前後となることから、水回りをリフォームすることを考えると販売価格を高く設定しても買い手がすぐに見つかることもあります。
このように、ハウスクリーニング費用を支払っても売主としてプラスになる要素が多いことから、売却前のハウスクリーニングはおすすめです。

相続に関する費用もかかる

実家を処分せず空き家のまま放置した場合は維持費だけがかかってしまいますが、そもそも相続しただけでも費用が発生することがあります。
そのため、親が所有している実家を相続する可能性がある場合は、この章で解説するポイントを抑えておくべきです。

相続税

相続でもっとも高額になりやすいのが、相続税です。
相続税は法定相続人が持つ基礎控除を超えた財産に対して課税され、課税額によって税率と控除額が国税庁によって次のように設定されています。
つまり、相続が発生することが判明した時点で相続税をチェックし事前に対処する必要があるといえます。

法定相続分に応ずる取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

相続登記費用
相続をした場合は相続登記をすることになりますが、一般的な費用は5〜15万円程度とされています。
ただし、この費用はエリアや相続登記する実家の評価額によって変わるため、事前に司法書士から見積もりを入手しておくことをおすすめします。
なお、令和6年4月から相続登記は義務化され、所有権を得てから3年以内に相続登記しなければ10万円の罰金となります。
そのため、相続した場合は必ず相続登記費用が必要になることを知っておく必要があります。
【参考サイト:相続登記が義務化されます(令和6年4月1日制度開始) ~なくそう 所有者不明土地 !~:東京法務局

まとめ
親が亡くなり突然実家を相続するケースも多いですが、空き家のまま放置するのではなく有効活用するか処分することがおすすめです。また、売却することを決めた場合は家屋を解体せず売却すべきでしょう。
そうすることで解体費をかけることなく手残り額を増やすことができます。
なお、家を売却する方法は仲介だけでなく買取という方法もあり、この場合は仲介手数料がかからないというメリットがあります。
このことからも、実家を相続した場合はまず不動産会社に相談し、買取を含めた最適な方法と流れについてアドバイスをもらいつつ選択することが重要です。

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