親が施設に入所して実家が空き家に|相続した空き家は売却した方がいい!

相続した空き家は売却が良い? 売却

親が要介護となり施設に入所することが決まった場合、実家が空き家になってしまうことがあります。
その場合実家の活用方法を家族で話し合うことになりますが、誰も使うことがないのであれば売却がおすすめです。
また、空き家を相続した場合であっても売却した方がメリットがあるケースが多いとされています。
この記事では空き家の活用方法や処分方法について解説します。

この記事で分かること
実家が空き家になった場合の選択肢
親が介護施設に入居した場合の売却方法
実家を売却した際にかかる税金

親が介護施設に入居した場合の空き家の選択肢

親が介護施設に入居することで実家が空き家になってしまい、活用方法で迷ってしまうケースは多いです。
そこで、この章では実家が空き家になってしまった際の選択肢について解説します。

売却する

実家が空き家になり将来にわたって活用しないのであれば、売却してしまうのがおすすめです。
なぜなら空き家は所有しているだけで固定資産税などのランニングコストがかかり、草むしりや換気といったメンテナンスも必要だからです。
そのため、日常生活に支障がでないようにするためにも空き家となった実家は売却することを検討すべきといえます。
ただし、実家は思い出があるため家族全員でしっかり話し合うことも重要です。

賃貸に出す

実家に住む予定がなく、かといって売るのに抵抗がある場合は、賃貸にだすという方法があります。
この方法であればメンテナンスを入居者に任せることができ、さらに維持費を賃料で賄うことができます。
さらに所有権を保持したままにできるため、将来売却することも活用することも可能です。
このように、当分の間実家を維持したい人に賃貸は有効な方法といえます。

誰かが住む

売却してしまうと所有権がなくなり、賃貸にだすと入居者がいる間は活用できなくなってしまうというデメリットがあります。
そこで、家族の誰かが住み家を守るという選択肢もあります。
こうすることで実家をメンテナンスしつつ家賃の発生を抑えることができ、活用方法としてもおすすめです。
そのため、売却する予定がないのであれば誰かが住めるように相談すべきといえます。

空き家のまま放置する

売却も賃貸も選択せず空き家のまま放置することも可能ですが、おすすめできない方法といえます。
なぜなら、家は誰も住まないことで劣化が進んでしまい、資産価値も減少してしまうからです。
また、倒壊するリスクがある状態になってしまうと固定資産税の優遇措置撤廃や解体命令が下される可能性もあります。
そして、このような状態になってから売却を検討しても査定額が安くなってしまいます。
こうした失敗をしないためにも、実家が空き家になった場合は売却もしくは有効活用の方法を模索すべきです。

介護施設に入所した親の実家を売却する方法

親が実家の所有権を保持したまま介護施設に入所した場合、通常の売却方法とステップが異なり「委任状の入手」もしくは「成年後見人制度の活用」が必要となります。
この章ではそれぞれの方法について特徴を解説します。

委任状を作成して売却する

実家の売却を一任する旨の委任状を作成し、所有者である親に署名押印してもらうことで実家をスムーズに売却することができます。
そのため、空き家になってしまった実家を売却する方法としてよく使われます。
ただし、権利証などの重要書類が分からないというトラブルや、認知症が進み正常な判断ができないことで委任状自体が無効になってしまうというケースもあるため、注意が必要です。

成年後見制度を利用して売却する

重度の認知症や障害がある状態に親がなった場合、委任状では実家の売買ができないことが多いです。

このような場合には成年後見人制度の利用がおすすめです。
成年後見人制度とは家族や親族、もしくは裁判所が指定した司法書士などが成年後見人となり、成年被後見人の財産管理を行う制度のことです。
本来、実家の所有者が親である以上は売却の意思決定は親にしかできません。
しかし実家の維持が困難な状態になっているにも関わらず、親が認知症などで判断できない場合は家族の生活に大きな影響がでてしまいます。
そこで、成年後見人制度を利用し円滑に売却することで家族の生活を守ることができます。
このため、親の状況によっては司法書士などの士業に相談し、成年後見人制度の利用を検討すべきです。

実家を売却すると税金がかかる

実家を売却すると諸費用だけでなく、税金もかかることを知っておく必要があります。
この章では家を売却した際にかかる所得税と、相続税した場合の取り扱いについて解説します。

家を売却した時の所得税

家を売却することで譲渡所得税がかかり売却益が課税額となりますが、次のような計算式で算出することができます。
売却価格-売却にかかった諸費用-取得費
なお、所有期間5年以内は「短期譲渡所得」、5年を超える場合は「長期譲渡所得」という扱いになります。
それぞれ税率が異なるため、注意が必要です。

短期譲渡所得

国税庁では短期譲渡所得における税率を39.63%としていますが、厳密には次のような内訳となっています。
所得税:30%
復興特別所得税:2.1%
住民税:9%
たとえば実家を売却し売却益が3,000万円だった場合、約1,189万円が譲渡所得税となります。
このように、所有して5年以内の実家を売却する際には4割近い税金を支払うことになることから、売却のタイミングは重要といえます。

長期譲渡所得

長期譲渡所得は20.315%と定義されており、国税庁からは次のような内訳が公開されています。
所得税:15%
復興特別所得税:2.1%
住民税:5%
仮に売却益が3,000万円となった場合は約610万円が譲渡所得税となり、短期譲渡の半分程度となります。
つまり、実家を売却する際にはなるべく長期譲渡所得となる時期を狙って販売活動すべきといえます。

家を売却した時の相続税

相続税を納付した上で実家を相続した場合には相続税を取得費として加算することができるという制度があります。
この制度を利用することで課税額を減少させることができ、大きな節税効果があります。
そのため、相続税が発生した場合には売却した際の手残り額を増やすことができますが、制度を利用するためには相続してから3年以内に売却しなければなりません。
このことからも、相続が発生することが判明した時点で家の売却を検討し、期限切れが起きないよう注意すべきといえます。
【参考サイト:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁

相続をする前と後で税金が変わる

実家を相続する前に親の名義で売却した場合、空き家になってから3年を超えていなければ居住用財産の特例を利用することができます。
この特例は居住用財産を売却する際に適用できる税制優遇となっており、課税額から3,000万円を控除させることができます。
ただし、現金で相続することになるため相続税が高くなる可能性があります。
その一方で相続取得し売却した場合はこの特例を使うことができないことから税金は高くなってしまいますが、現金で相続するよりも評価額を抑えることができます。
つまり、実家を売却するには取得期間だけでなく相続する前に売却するか後から売却するのかが重要なポイントといえます。

まとめ

親が施設に入所し実家が空き家になってしまった場合、活用するか売却するのかを決める必要があります。
ただし、売却するためには委任状を作成し親に署名押印してもらう必要があり、認知症などで正常な判断ができない場合は裁判所の許可を得て成年後見人制度を利用することになります。
このように、親の状態で空き家となった実家をスムーズに売却できるかどうかが決まるといえます。
このことからも、親が高齢になったタイミングで話し合い、実家をどのように活用、もしくは処分するのかを決めておくことをおすすめします。

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