家の売却でよくある失敗8パターン|後悔せず手放すためのポイント

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戸建てや土地、マンション売却をするためには不動産会社に査定を依頼して売却価格を決め、媒介契約を締結して販売をスタートする必要があります。
そして買主が決まれば売買契約を締結し、残代金の支払いを受けて物件を引き渡し、売買完了となります。
不動産売却はこうした一連の流れで進められますが、不動産業者の選定や売り出し価格の決め方で失敗するケースもあり注意が必要です。
また土地や建物の状態によっては売却後に思わぬ負担が発生することもあり、売主としては売却条件も十分に検討すべきポイントです。
この記事では家の売却時によくある失敗事例と失敗しないためのポイントを解説します
これから不動産の売却を予定している人は参考にしてください。

家の売却で失敗する例

家の売却に慣れている人は少なく、価格や販売条件の決め方で悩むケースは多いです。
さらに不動産の所有者が登記情報と異なっていたり法律の改定によって売却が困難になっていることもあり、事前に把握しておくべき情報も少なくありません。
購入希望者から契約するために金額の値下げを交渉される可能性もあり、あらかじめ最低ラインを決めておかなければすぐに回答できず売却のチャンスを逃してしまうこともあります。
こうした失敗例を確認しておくことは、後悔せず家を売却するうえで大切なポイントといえます。

適正価格で売り出さない

1円でも高く売りたいと考える売主は多いですが、不動産は種別や立地、物件の状態によって相場がある程度決められており、相場に近い価格で公開することで買い手が見つかりやすくなります。
理由もなく相場よりも高い物件は反響が少なくなるため販売が長期化し、売却完了までに支払う固定資産税などが高くなってしまいます
特にマンションの場合は管理修繕費や駐車場代なども負担することになるため、不動産売却に関連する支出が増えてしまう原因になります。
また販売期間が長くなるとその間建物が劣化してしまうため資産価値が低下しさらに売りにくくなりますので、注意が必要です。

不動産会社選びを誤る

家を売却するためには不動産会社に査定価格や売却方法の相談をすることになりますが、依頼する会社は慎重に判断することが重要です。
なぜなら不動産会社の販売力や内覧時の対応で物件が売却できるかどうかが決まるからであり、信頼できない担当者や会社に依頼してしまうと大きなリスクになります。
囲い込み行為を行うことで自社の利益を優先する業者もありますので、不動産会社の口コミなども確認しておく必要があります。
また、売却したい物件と似たような物件を得意としている会社に依頼することも大切です。例えば筆者の場合は空き家の売却をしましたが、最初は大手のマンションや築浅物件を取り扱う不動産会社に問い合わせ断られ続けました。その後空き家に特化した不動産会社に問い合わせて、なんとか手放すことができました。

準備不足で売却が遅れる

登記情報や物件周辺の法令制限などは不動産会社でも調査可能ですが、登記識別情報通知や購入時の売買契約書などは売主から書類の提示を受けて確認することになります。
また住宅ローンが残っている場合は完済できる金額以上で売る必要があり、必要書類が揃わなければ売却価格を決定することができず販売の開始が遅れてしまいます。
これ以外にも所有者が複数人いる場合で全員の合意が得られていない状態で販売をスタートしてしまい、契約直後に名義人同士で揉めてしまうという失敗事例もあります。

契約不適合責任に関するトラブル

契約不適合とは目的を達成できない状態のことで、雨漏りやシロアリ被害、建物の傾きなどが代表的な契約不適合です。
一般的に売主は引き渡しから一定期間、契約不適合責任を負うことになり、その間で買主が目的を達成できないような事態が発生してしまうと修繕の費用を負担しなければなりません。
しかし天井裏や床下の状態を把握することは難しく、住んでいるマイホームを売却するケースでも売主が気づかないこともあります
築年数によっては修繕できないほど劣化していることもあり、その場合は代金減額請求や契約の白紙解除、損害賠償請求を受けるリスクを抱えることになります。

住宅ローン残債を下回る

住宅ローンの残債よりも上回る金額で売却するケースをアンダーローン、下回るケースをオーバーローンと呼びます。
アンダーローンであれば家の売却価格で住宅ローンを完済することができますが、オーバーローンだと不足分を自己資金で補填しなければなりません。
また金融機関によってはオーバーローンでの売却を認めていないこともあり、販売自体ができないこともあります。
そのため住宅ローン残債がある場合は不動産会社の査定額や諸費用だけで売却価格を判断するのではなく、完済できる価格も考慮する必要があります。

物件の管理状態が悪い

建物の築年数が古かったり設備の劣化が進んでいると買い手が購入を躊躇してしまい、販売が長期化する原因になってしまいます。
特に昭和56年5月31日より以前に建築された家屋は旧耐震と呼ばれる耐震基準となっており、耐震性が現行法令の基準を満たしていない可能性があります。
その結果買主は耐震補強工事や大掛かりなリフォームを検討することになり、資金計画が合わなくなることも多いです。
これ以外にも土地に雑草が生えていたり塀が破損していると見た目が悪くなってしまいますので、頻繁に管理することが重要です。

法律で建て替えが制限されている

市街化調整区域や土砂災害特別警戒区域にある建物は一度解体してしまうと再建築できないことがあり、法令制限を知らずに解体してしまい後悔する売主も多いです。
買主としても再建築不可の土地を購入することは大きなリスクを抱えることになり、契約後のトラブルになることも少なくありません。
このような法令制限は不動産会社に調査してもらわなければ分からないことも多いことから、売却する際には自己判断せずなるべく早い段階で不動産会社に相談することをおすすめします。

登記情報が古い

法務局に備え付けられている登記情報は正しくない状態で保存されていることもあり、正しい所有者で登記されていないこともあります。
たとえば相続や贈与、交換によって家を取得した場合、登記しなくても所有権を主張できた時代もありました。
しかし現行法令では売主と登記情報が一致している必要があり、名義人が異なる場合は所有権移転登記時期までに売主に名義人を変更する必要があります。
遺産分割協議書や権利証がなく何十年も登記情報が更新されていないと名義変更が難航し、売却自体ができないというトラブルも起きてしまいますので、注意が必要です。

家の売却で失敗しないポイント

家の売却をスムーズに完了させるためには事前準備と正しいステップが大切です。
この章では家の売却で失敗しないポイントを紹介します。

適正な売り出し価格を定める

不動産は資産価値に合った価格で売り出しできれば販売が長期化することはなく、スムーズに買い手を見つけることができます。

そのため不動産会社が提示する査定額に近い価格で売却価格を設定することが重要です。
ただし将来的に土地区画整理事業や再開発計画がスタートすることが判明しているエリアの場合、土地の資産価値が高騰する可能性が高くなります。
このような場合は現状の相場で売却するのではなく、少し期間を置いて資産価値が安定してから売りに出すという方法も有効です。

信頼できる不動産会社を選ぶ

安心して売却を任せられる不動産会社を選ぶことで、ストレスを感じることなく家を売却することができます。
不動産会社を選ぶコツとして査定額の説明が分かりやすく、売主にとって最適な売却プランの提示をしてくれるという点があります。
また、その際に対応してくれる担当者との相性も大切であることから、不動産会社の規模だけでなく担当者の対応力や返信スピードなどを含めて総合的に判断することが重要です。
このことからも不動産会社選びは慎重に行なうべきといえ、一括査定サイトなどを利用して複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
また、筆者のように空き家などの物件を売却したい場合は、そのような物件を得意とする会社に問い合わせるのがおすすめです。
参考:空き家買取業者おすすめ20選!選び方のポイントと訳あり・相続・スピード・不用品回収が得意な業者

余裕を持ったスケジュールを設定する

売却の完了期日が決まっており慌てて売却してしまうと、相場よりも安い金額で契約になったりと不利な条件で売却することにもなりかねません。
また重要な手続きが抜けてしまうことで契約不履行になり、大きなトラブルに発展することも考えられます。
このような失敗を防ぐためにも売却完了したい期日を設定し、逆算して余裕を持ったスケジュールでスタートすることが大事です。
物件によって想定される販売期間は変わりますので、不動産会社と相談しながら売却開始のタイミングを見極めることがポイントといえます。

税金や手数料の知識を身につける

不動産売却は税金や諸費用がかかるケースが多く、価格設定時には次の項目についてある程度計算しておくことが重要です。

税金と諸費用 内容
印紙代 売買契約書に貼付する印紙の代金。
売買代金によって変わる。
譲渡所得税 不動産売却によって得た利益に対して課税される税金。
所有期間によって税率が次のように変わる。
所有期間が5年以内:39.63%
所有期間が5年を超える:20.315%
     なお、マイホームや相続した空き家を売却した場合に課税額を控除できる制度が設けられている。
仲介手数料 不動産会社に支払う報酬。
売買代金によって次のように報酬限度額が変わる。
200万円以下:売買代金×5%+消費税
200万円を超え400万円以下:売買代金×4%+2万円+消費税
400万円を超える:売買代金3%+6万円+消費税
ただし800万円以下の空き家や空き地の場合、30万円+消費税が限度額となる。
なお、買取業者に買取を依頼した場合は不要になることが多い。

上記の税金や諸費用は不動産の取得状況や売却価格、買主によって大きく変動することから、もっとも得になるケースで売却することがポイントです。

契約書などは専門家と相談する

不動産売買契約書の代わりとなる書面は宅建協会などのHPから雛形をダウンロードできますので、自分で作成することも可能です。
しかし売買契約書は売主と買主の約束事を記載するため、作成には重要事項が漏れないよう細心の注意が必要です。
たとえば住宅ローン本審査の承認や手付解除の期日、契約不適合の内容、違約解除となるケースなどは後から揉めることがないよう、双方が合意できる内容で記載しなければなりません。
不動産売却にはプロでなければ気づかないようなリスクも多いことから、必ず不動産会社や司法書士、弁護士といったプロに相談し内容を協議することをおすすめします。

空き家は相続したら早めに売却する

空き家は有効活用しなければ劣化が進んでしまうことで資産価値が下がり続けてしまい、さらに維持管理の費用や工数もかかります。
万が一倒壊する可能性があるほど劣化してしまうと空家等対策の推進に関する特別措置法で指定される特定空家に認定されてしまい、固定資産税の税制優遇措置撤廃や強制解体といった措置を講じられるリスクを抱えてしまいます。
そのため空き家を相続し有効活用しないのであれば、なるべく早めに売却することが重要です。
参考:空家法とは

セットバックや解体、買取を検討する

前面道路が狭かったり土地の裏側が見えない物件は買い手が購入を躊躇しやすいため、セットバックによって道路部分を拡張したり家屋を解体して奥まで見渡せるようにする工夫が必要です。
しかしセットバックするためには確定測量費用がかかり、家屋の解体にも費用がかかります。
そこで売りにくい物件は買取を検討し、スピーディーに売却してしまう売主が多いです。
買取は仲介と違って買い手を探す手間を省くことができ、確定測量も解体も必要ありません。
家屋内にある残置物を撤去することなく現況で引き渡すことができ、さらに仲介手数料もかからないというメリットがあります。
特に空き家を専門的に買取している業者は買取査定額が高値になることが多いため、なるべく早く空き家を処分したい人に向いている売却方法です。

相続登記を行う

相続登記を行うことで登記情報と登記識別情報通知の内容を一致させることができ、問題なく売却することができるようになります。
また、相続登記は令和6年4月1日から義務化され、所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記をしなければ10万円以下の過料が課せられる可能性があります。
このことからも空き家を相続取得した際には必ず相続登記を行うことをおすすめします。
参考:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始) ~なくそう 所有者不明土地

まとめ

家を失敗せずに売却するためにはよくある失敗事例を確認し、そのうえで対策することが大切です。
家を売却することが決まればまず必要書類を準備し、次に複数の不動産会社に査定と売却プランの提案を依頼します。
そして税金や諸費用、住宅ローンの有無を踏まえて売却価格を設定し、信頼できる不動産会社に依頼することで安全に売却することができます。
このように不動産売却では正しいステップを踏むことが重要といえます。

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